伝説の漫画、スラムダンク(SLAM DUNK)。
映画化も決まり、また読み返している人も多いのではないでしょうか。
スラムダンクは人物描写が非常に繊細であり、各キャラクターのセリフも一語一語が心に刺さります。
物語の中で、キャラクターのらしさが表れている名言が頻出し、誰しも忘れられないセリフがあると思います。
今回は、スラムダンクの感動をいつでも思い出せるように、それぞれのキャラを象徴するようなセリフを1人=1セリフの原則で集めました。
なお、名言と言っても、「安西先生、バスケがしたいです」「天才ですから」のような、義務教育となっているようなセリフは対象外とします。
あくまで、そのキャラ”らしさ”が表現されている一言を厳選して集めました。
セリフを眺めながら、スラムダンクの世界をもう一度思い出してみてください。
湘北バスケ部
桜木 花道(さくらぎ はなみち)
今作の主人公である桜木花道。彼を象徴するセリフをたった1つに絞るというのは、大変難しいものがあり、悩みに悩みました。
圧倒的才能を持つ素人、桜木が強豪校との試合を掻き乱し続ける姿は、常に感動させられましたね。
強豪校の計算を上回る常識はずれの成長速度を見せつけ、バスケ歴の長い選手を驚愕させる予測不能な動きは、痛快そのものでした。
桜木が急速な速度で成長できたのも、ライバルである流川の存在のおかげだと思います。
そこで、流川との関係性を表すセリフを紹介します。
海南戦で流川が牧をかわしてダンクを決めた後、桜木が放った一言を名言に選びました。
オレだってあのくらい…
115話
流川のスーパープレーを見た湘北、海南、観客の誰もが度肝を抜かしている中で、唯一桜木だけが流川を認めていませんでした。
素人ゆえに流川の凄さが分からなかったのか、本当に自分もできると思ったのか、それとも負け惜しみか、この時点ではどれか一つに断定出来ません。
しかし、この一言に込められている桜木の感情は、桜木から見た流川との関係性をよく表していると思います。
桜木は自身のことを「天才」と呼んでいますが、かなりの努力型です。
もちろんバスケット選手としての素質は誰もが認めている一方で、そうは言ってもまだ初心者であり、試合では足を引っ張ることもあります。
下手な自分に対して流川が活躍する度に、桜木は自信を失うこともありました。
普通であれば「初心者だから出来なくて当然」と諦めてしまいそうですが、自らを「天才」と呼び鼓舞し続け、本気でスーパーエース流川を超えようとします。
流川という最高のお手本でありライバルが身近にいてくれたおかげで、桜木は常識外れのスピードで成長しました。
この「自分を信じ続けて諦めない姿勢」が、気づくと湘北を勇気づける存在となり、湘北の快進撃が始まるのでした。
作中では上記のセリフの後に、試合は後半へと入ります。
前半で爆発したことで疲弊している流川とは対照的に、無限のスタミナを持つ桜木は後半でもガムシャラに動き回ります。
そして、後半の勝負所では、あの牧を吹き飛ばしてダンクを決めました。
流川のような華麗なダンクではありませんでしたが、真っ直ぐで豪快なダンクは桜木の生き方そのものであり、「オレだってあのくらい…」がただの負け惜しみではなかったことを証明するのでした。
余談ですが、流川が桜木のダンクを見た後、「あれくらいはやらないと…」とベンチでブツブツと言っていたのも印象的です。
流川もまた、このセリフがただの強がりではないことを、自身のプレー水準の高さから証明し続けるのです。
流川楓(るかわ かえで)
湘北のスーパーエースにして桜木のライバル、流川です。
一年生ながらその才能と強気なプレーで、湘北は何度も救われてきました。
桜木の名言として桜木−流川の関係性を取り上げたので、流川は違った角度から名言を選びました。
なお、流川は無口なので口数は多くありません。
桜木への嫌味のときは饒舌であり、湘北名物意地の張り合いで桜木を追い込みます。
普段は無口な流川に対し、赤木は心のどこかでこの意地の張り合いを、微笑ましく見ていたのではないでしょうか。
翔陽戦、県大会初の競合との試合ということもあり、流川以外のメンバーは緊張により不調でした。
そのため、流川が強引に個人技で得点を取る必要があり、リバウンドからドリブル、シュートまで一人でやってのけます。
この圧巻のプレーを魅せた後に流川が放ったこの一言が、彼の名言だと思います。
全員動きがカタい パスが出せねー
84話
なんとも流川らしい、生意気なセリフですね。緊張で動きの悪いチームに対して、言葉で鼓舞するのではなく、圧巻の実力で先輩を動かすスターです。流川の個人技を境に、湘北は動きが良くなりました。
ここで流川らしいのが、そもそもパスを出す気がないことです。山王戦では、パスを覚えた流川が新しい一面を見せましたが、流川は1on1にこだわる負けず嫌いです。湘北メンバーが緊張していようがいまいが、このシーンでパスは出さなかったでしょう。
パスを出す気もないのに、「パスが出せねー」と見方を煽る流川はなんとも流川らしいと思うのです。
流川は向上心が強く、才能を持ちながら努力も惜しみません。努力もできる天才です。
そしてその能力を、チームのために使います。
単に負けず嫌いな選手であれば、試合内容よりも一対一に勝つことで満足するかもしれませんが、流川は「チームで勝つこと」にこだわっている場面が多々見受けられます。
「オレ達は強い!」というチームの士気を上げる掛け声を、豊玉戦では自ら提案していました。
ワガママなプレーと評されることもあり、自己中心的な選手に思われがちですが、チームを勝たせるための1on1であり、誰よりもチームの勝利を考えているかもしれません。
この点が谷沢君との違いではないでしょうか。
上記の発言をしたシーンも、流川だけが見立ちたいのであれば味方を煽る必要はありません。
口数の少ないクールな流川の中から時折現れる「チームへの想い」が、湘北バスケ部を一つにさせていたのでしょう。
赤木 剛憲(あかぎ たけのり)
湘北がワンマンチームであった頃から、諦めずに孤軍奮闘していたのが絶対的キャプテンの赤木です。
全国トップレベルのセンターでありながらチームメイトに恵まれず、三年生まで無名の選手でした。
長らく日の目を見ずとも決して腐らず、懸命に練習を続けた赤木は強力なチームメイトを得て、県大会・インターハイで大暴れします。
山王戦にて、厳密にはセリフではなく心の中で発した言葉なのですが、赤木の名言がこちらです。
このチームは…最高だ…
267話
「オレたちゃ別に仲良しじゃねえ」と言ってから、心の中で呟いた言葉です。そのため、チームメイトには伝えられていません。
しかし、本当に思っているからこそ口に出さないのではないか、とも思います。
不器用な赤木が、チームメイトの前で本音を明かすことは難しいでしょう。ですが、赤木が言わずとも、湘北バスケ部は友情関係ではない「何か」で強く繋がっているため、赤木の想いは伝わっていると思います。
前述の通り、赤木は全国大会を目指して真剣にバスケをしていましたが、チームメイトは赤木について来ませんでした。赤木と張り合おうとする人は三井のみであり、その三井もグレて途中離脱してしまったことで、赤木はたった一人で戦い続けていました。
高校最後の県大会にして、ようやく赤木と同じ目線でバスケをする仲間に出会え、仲間の心強さを噛み締めた後に出てきたこのセリフは、とても重いものがあります。
赤木は実力的にも全国トップクラスですが、精神面においてもチームの支柱です。
試合展開が苦しい時こそ、チームメイト全員がゴール下に構えている赤木を頼ります。
そんな赤木も、山王戦では自分以上の実力を持つ河田にボロボロにされてしまいます。
昔はワンマンチームとして赤木だけがチームを引っ張ってきましたが、まさか赤木がここまで押さえ込まれるとは誰も思いませんでした。
対山王戦、赤木の得点で勝利を狙ういつもの型ではなく、チームメイトを活かすことで勝つ選択をした赤木は、自分以外に点を取ってくれるチームメイトの存在を心強く感じていたでしょう。
味方を活かしながら、気づくと河田とも恐れず勝負できるようになり、最終盤では執念で河田のダンクをブロックします。
周囲から頼りにされていたキャプテンが、実は、同じようにチームメイトに支えられていたのでした。
三井 寿(みつい ひさし)
この漫画では、キャラクターの過去が掘り下げられることは多くありませんでした。
そんな中、唯一しっかりと過去が描かれたキャラクターが、3pシューターの三井です。
中学校まではスーパーエリートでしたが、高校では怪我をして以降、グレて不良になってしまいます。
ただ不良になるだけならまだしも、バスケ部へ逆恨みをし、罪もない宮城をボコボコにして入院させます。更には湘北バスケ部を不良仲間と一緒に襲撃します。
本人の思いと周囲の許しがあり、バスケを再開しますが、陵南戦では疲労で試合中に倒れてしまいます。
コートの外で水分補給をしながら、心の中でこう呟きました。
なぜオレはあんな無駄な時間を…
180話
スラムダンクは基本的には試合が物語の中心にあります。
他のキャラクターは過去が描かれないため、常に「今」の成長や葛藤に焦点が当てられます。しかし、三井だけは過去が丁寧に描かれており、それも中学MVPプレーヤーという眩し過ぎる過去でした。
そのため、どうしても三井は作中で「今」だけでなく「過去」を意識させるキャラクターであり、過去と比べての三井がいます。
山王戦で安西先生からも指摘されていますが、過去を美化して今の自分を責める傾向があり、緊張のせいで試合前にやたら行くトイレすらもブランクのせいにしています。
磨けば必ず光る才能を持っていたからこそ、高校生活の大切な二年間をなくしてしまったことを心から悔やんでいるのでしょう。
本来、人生に無駄な時間などありません。どんな時間の過ごし方をしてもそれは大切な経験・思い出であり、後の人生の糧になると思います。
ただ三井に限っては、誰よりも抜群なバスケセンスを持っていたからこそ、バスケをしていなかった時間が惜しく感じたのかもしれません。
光り輝いていた中学生の時とは異なり、ブランクがあるせいで思うようにチームメイトの助けになれない、そんな自分を省みたこの一言は、三井を象徴していると思います。
最後、山王戦での三井は絶好調で、フラフラになりながらもスティールをし、3pを決めまくります。
ですが、大活躍の山王戦の後でも、おそらく三井はまだ自分を責めているのではないでしょうか。
過去への後悔を大切にすることで、三井は今を一番輝かせているのです。
宮城 リョータ(みやぎ リョータ)
湘北の切れ込み体調こと、宮城です。
宮城はPGというポジションの関係もあるのか、分かりやすくチームを勝たせるような大活躍はありません。
さらに、翔陽の藤真、海南の牧、山王のピョン吉と、常に敵のキープレーヤーとのマッチアップが続いていたので、圧倒的に宮城が力を見せつけるような、そんな試合はありませんでした。
チームメイトの力を引き出すような、チームの黒子に徹している宮城が山王戦で発した名言がこちらです。
流れは自分たちでもってくるもんだろがよ!!
244話
山王戦の後半、チームはズタボロで、大黒柱赤木にも頼れない展開になりました。
これからどう流れを引き寄せるか宮城が考えていた矢先に、ミスを連発するチームメイトに放ったセリフです。
宮城は赤木のような鉄拳制裁とは異なり、褒めてチームメイトを鼓舞するタイプです。桜木も宮城の上手におだてられ、何度も実力を引き出されました。
普段は優しい宮城だからこそ、不甲斐ないチームメイトを怒鳴りつける姿勢からは、数多の猛者たちとマッチアップする中で、勝負どころを見極めるようになった宮城の凄みを感じさせます。
バスケットプレーヤーとして、宮城は長所よりも短所が目立つ選手です。
身長が低いというバスケット選手には致命的な短所があり、その上ジャンプシュートも苦手としています。
一般的に、バスケットでは身長が低い選手はシュートが上手いものですが(むしろ上手くないといけない)、宮城はシュートの精度が低いため離れて守られると相手を抜けません。
しかし、短所を克服するのではなく、誰にも負けない得意を極めることで戦うスペシャリストタイプであり、山王戦では速さとパスで深津さえも錯乱しました。
他の選手のような身長はありませんが、宮城のようなプレーはどの選手もできないのであり、今作で唯一無二のプレースタイルでした。
ナンバーワンPGは牧かもしれませんが、オンリーワンの宮城です。
また、スピードとクイックネスを最大の武器としていましたが、山王戦で発したこのセリフからも明らかなように、徐々にチーム全体を指揮するキャプテンシーが現れてきました。
考えてみれば宮城はまだ2年であり、これから更に成長する選手であると予感させられます。
木暮 公延(こぐれ きみのぶ)
赤木とともに湘北バスケ部を守り続けた、3年のメガネ君こと木暮です。
3年生ではありますが、スタメンと比べて身体能力が優れているわけでなく、バスケット選手としての能力は並です。
交代選手の一番手として控え選手の役割を全うしますが、「湘北はベンチが弱い」と言われる通り、木暮は流川や三井のような才能のある選手ではありませんでした。
三井がバスケ部を襲撃した際、久しぶりに会った三井に向けて放ったセリフが名言がこちらです。
何が日本一だ!!何が湘北を強くしてやるだ!!(中略)夢見させるようなこと言うな!!
71話
正直木暮は、大人になってから凄さが分かる人物だと思います。スラムダンクは小学生の頃から熟読していましたが、木暮はまさに影の薄い交代要員であり、スタメンと比べると華がありません。いわゆる凡人です。
しかし木暮の母親のような優しさは、問題児集団の湘北に欠かせない戦力でした。
他の部員が次々とバスケを辞める中、赤木を中学からずっと支え続け、3年なのにポジションを取られても文句一つ言わずに現状を受け止め、全力でチームの応援をしています。高校最後の大会で、昨日今日入部してきた1年生にポジションを奪われるのは、普通は悔しいはずです。
まして三井はバスケを2年間やっていなかったわけで、3年間必死に練習していた木暮からしたら堪ったものではないと思います。
しかし、現状を真摯に受け止め、自分のできること、控え選手としての役割を全力でこなす木暮は誰よりも強い男かもしれません。
普段は決して怒らない、赤木がムチであるなら湘北のアメである木暮は、唯一、三井に対して上記のように怒鳴りました。
上記の名言は文字だけを見れば、決してかっこいい言葉ではないと思います。プライドがないような、他力本願ともとれる発言であり、流川や赤木であれば言わないでしょう。
なぜこんな発言ができたのでしょうか?
木暮は控え選手でしたが、湘北というチームを心から好きでいたからだと思います。
バスケの才能がないからこそ、才能を持ちながらその才能をチームのために使わない三井に、上記の発言を強い口調でしたのだと思います。
プレーヤーとしての木暮は、チームに大きな貢献はできなかったかもしれません。
ですが、「人を信じ続けること」「人に期待すること」という簡単なようでとても難しいことを、控え選手として3年間やり続けたのでした。
安田 靖春(やすだ やすはる)
宮城の控えは安田です。
控え選手の中では、木暮に次いで活躍シーンが多かった選手です。
度胸があり、三井襲撃の際も、豊玉の野次にも屈しませんでした。
陵南戦、福田に負けた桜木にかけた言葉が名言です。
後半逆襲だ桜木!なっ
162話
安田らしい、控えめな激励ですね。落ち込む桜木に対して、なんとか励まそうとしている様子が伺えます。
控え選手として、後輩を慰めることはプライドにさわるでしょう。
ですが控え選手としての務めを果たすことは、チームに欠かせない役割なのだと思い知らされます。
宮城のことも素直に賞賛しており、チームの雰囲気を壊すことはありません。
試合に出れば自分の役目を果たす、計算できる選手です。
潮崎 哲士(しおざき てつし)
名前を見て、潮崎の顔がイメージできたあなたは、かなりのスラムダンク通です。
潮崎はほとんどセリフがありません。安田や角田は途中交代で試合に出ることもありますが、潮崎はありませんでした。
三井率いる不良集団に襲撃された時も、一瞬で鉄男に蹴り飛ばされていました。
そんな潮崎が、海南戦で無双する流川を見て放ったセリフが名言です。
もー今のあいつには何を注文してもいいぜ!!
113話
こんなにも真っ直ぐに後輩の活躍を喜べる先輩は、珍しいと思います。
ポジションを取られているのにも関わらず、一切の不満を見せずに流川を讃える姿は、安田同様に、チームの主役ではない人間の振る舞い方を教えてくれます。
角田 悟(かくた さとる)
赤木と桜木の控えが、角田です。
身長は三井と同じくらいで、桜木が退場した時の控え要員です。
角田の名言がこちらです。
桜木はすごいのとやってるよ…
227話
山王戦、桜木が一時ベンチに退き、リバウンドの上手いポールとマッチアップした時の感想です。
ポールに「全く問題にならん」と相手にされておらず、完全なやられ役でした。
その後角田がベンチに退き、実力不足を悔しがるのではなく、最初に発した言葉が桜木への賞賛でした。
もちろん、毎日練習している2年生ですから悔しいとは思います。しかし、自らへの悔しさよりも仲間への賞賛を優先し、実際にそれを言葉にする角田は、粋な男でした。
石井 健太郎(いしい けんたろう)
控えの1年生で、第二のメガネ君です。
授業中に寝ている流川に怒る教師に対して、名言が飛び出ました。
先生今日は特別なんすよ昨日試合で…
132話
いい人ですね。
佐々岡 智(ささおか さとる)
控えの1年生です。
あまりセリフはありませんでしたが、陵南との練習試合で、桜木の脅迫もありユニフォームを譲った優しい男です。
陵南戦で桜木がデビューしていなければ、湘北はまた一段階弱い状態で県大会に臨むことになっていたと思うので、ナイスです。
桑田 登紀(くわた とき)
陵南戦で倒れた三井にポカリを買って来た桑田です。
すげえ…オレたちなんてここに座っているだけでドキドキして落ち着かないのに
205話
流川インターハイでの活躍を見ながら、素直すぎる一言です。
ぜひ落ち着いてほしいです。
赤木 晴子(あかぎ はるこ)
今作のヒロインである、ハルコさんです。
ハルコさんがいなければ、桜木はバスケと出会いませんでした。起承転結の「起」の部分である、全ての始まりを起こしたキーキャラクターです。
一方で、バスケ部でもないのに、「お兄ちゃんがいるから」という理由でやたらバスケ部に絡もうとしてくる、面倒な人でもあります。
多分女子ウケは悪いです。
そんなハルコさんが桜木を連れて体育館に行き、生まれた名言がこちらです。
救世主よ!!救世主よお兄ちゃん!!
1話
やはりこの言葉に尽きると思います。
物語が進むと、ハルコさんは桜木軍団と一緒に試合を観戦・解説します。桜木の調子もハルコさんの応援によって支えられており、ハルコさんの応援ドーピングで桜木は全快します。
しかし、ハルコさんの真の功績は応援ではありません。
最大の功績は、桜木花道という大器を、湘北にリクルートしてきたことです。
ハルコさんでなければ、188cm・赤い頭のヤンキーを、バスケ部に誘うなど思いもしなかったことでしょう。
無意識のうちに桜木を惚れさせている無邪気なハルコさんはどこが憎たらしいですが、彼女あっての桜木であり、彼女あっての湘北バスケ部です。
チームはプレーヤーだけでなく、その周りにいる人たちの総力戦で成り立っているのだと思い知らされます。
湘北は確かに選手層は薄かったですが、その不足分をハルコさんのような、プレーヤー以外の人達による協力で補っていたのかもしれません。
彩子(あやこ)
宮城の思い人、彩子さんです。
彩子さんはマネージャーらしい、影の存在です。
彩子さんの顔や性格はすぐに思い出せる一方で、彩子さんのセリフがすぐに思い出せる読者はあまりいないのではないでしょうか。
スラムダンクを読み返してみると、彩子さんは絶妙に他のキャラクターの引き立て役にまわっていることが分かります。
そんな彩子らしい名言がこちらです。
(桜木をハリセンで叩きながら)ぜーんぶファウルだ!
13話
桜木の入部直後、流川率いる一年生VS上級生で練習試合をしているときのセリフです。
桜木が流川への嫉妬から、あの手この手で流川を止めさせようと、上級生に「足かけろ」等の小学生のような野次をとばしていました。
その時、コマの外から彩子さんのこの素晴らしいツッコミです。
このように、彩子さんはキャラをツッコんだり解説する役が中心であり、作中で彩子さんが主役になる回はありません。
宮城は彩子さんのことを好きでいますが、本人はどう思っているのかも明らかにされません。
「彩子さんはこの時、なにを考えているのだろう」と考えると、分からない場面が多いです。
選手がノビノビとプレーできるように環境づくりに徹し、自らが前に出ようとしてこない彩子さんは、女子から好かれる女子のように感じます。
安西 光義(あんざい みつよし)
優しそうな風貌の安西監督。元全日本選手です。他校の監督からヘコヘコされている様子を見るに、かなりの偉い人のようです。
無名の湘北高校において、一番のビッグネームはもしかしたら安西監督かもしれません。
大学のバスケ部の監督をやっていた頃はスパルタの鬼教官でしたが、今ではすっかり丸くなりました。
大学時代の監督生活で燃え尽き、引き際を探しているような安西監督は、他の監督よりも視座が高い印象を受けます。
海南戦での、安西監督の名言がこちらです。
なんとか勝たせてあげたい…なんとか…
126話
安西監督は県大会まであまり心情が明らかにされることはなく、インターハイ出場が決まってから、安西監督の過去と共に人物像が描かれることになりました。
他校の監督が選手と一体になり、他のチームに勝とうとしているのに対し、安西監督は「湘北バスケ部のため」「バスケット界全体のため」に指導しているような気がします。
ただ目の前のチームに勝つためではなく、バスケット選手として長期的な目線で選手を育てているのです。
流川のアメリカ行きを止めた時も、桜木の才能に喜んだ時も、「湘北が勝つため」ではなく、「流川本人のため」「バスケット界のため」という気持ちが心の奥にあったのではないでしょうか。
海南戦、海南の監督である高頭は、チームがやられ始めるとイライラして扇子を折ってしまいました。
通常、監督はチームを勝たせるために指導をしたり、戦術を考えたりするので、高頭の気持ちはよく分かります。
そんな高頭とは対照的に、安西監督は海南戦の後半、劣勢の湘北を見ながら心の中で呟いた言葉が、上記の名言です。
高頭より一段高い目線で、「湘北バスケ部に良い思い出を作らせてやりたい」というような、安西監督の親心のような、温かさを感じる一言です。
俺を出せという桜木に対して言った、「キミは秘密兵器だからスタメンじゃないんです(26話)」という会心の返事とも迷ったのですが、上記を名言としました。
まさに人生の大先輩というような器の大きさ、視座の高さで、湘北バスケ部のその後の人生まで考えてくれる恩師です。
桜木軍団
水戸 洋平(みと ようへい)
不良時代からの桜木の右腕、水戸です。
バスケ部ではありませんが、湘北のレギュラーメンバー並みに存在感の大きいキャラクターでした。
圧倒的な喧嘩の強さ、三井とバスケ部を守るために罪を被る等、男気溢れるキャラで大人気です。
翔陽と試合をした次の日の朝、水戸は桜木に連れられてか体育館にいました。
少し落ち込んでいる桜木でしたが、水戸と話しながら段々と元気を取り戻します。
桜木「洋平…きのうはやっぱりオレ…けっこうスゴかった…?」
水戸「あの大声援がきこえなかったのか?」
桜木「 オレ…なんかうまくなってきた…」
この後に名言が飛び出します。
ハハッ!天才なんだろ?
98話
桜木の性格を理解している水戸だからこそ、言えた言葉だと思います。
一番の友人からの、これ以上ない賞賛ですね。
最初はしっとりと桜木の気持ちを盛り上げていき、桜木が明るさを取り戻し始めた時に、この調子に乗らせるような発言。
水戸はかなりのキレ者です。
桜木の気持ちや様子をいち早く察知するシーンもあり、まさに桜木の相棒という立ち位置です。
さらに物語は進み、桜木が安西監督とシュート特訓合宿をした際には、元バスケ部のハルコさんがいるのにも関わらずパス出し役を務めました。
バスケボールは大きくて重いので、初心者が簡単に投げられるボールではないのですが、慣れた手つきで桜木の手元に正確なパスを送り続けました。
喧嘩良し、スポーツ良し、頭脳良し、性格良し、スラムダンクの世界でなければ、十分物語の主役になり得る存在です。
ですが、あえて二番手の立ち位置にいる水戸は、またそれも水戸らしいと思えるのです。
高宮 望(たかみや のぞみ)
桜木軍団のぽっちゃりさん、高宮です。
ネタキャラのイメージがありますが、彼が一番輝いていたのは、三井達が桜木を囲んでいた時の登場シーンです。
はいやー
61話
流石の桜木も多勢に無勢で、あのまま戦っていたら負けていたかもしれません。
高宮の掛け声とともに、桜木軍団が登場し、見事三井率いる不良集団を倒しました。
キャラクターとして愛くるしい見た目をしており、現れるだけで何か笑いが起こりそうな雰囲気があります。
桜木軍団として不良をやっているものの、喧嘩から帰った後一人だけ怪我をしていたりと、どうやらそこまで強くはなさそうです。
野間 忠一郎(のま ちゅういちろう)
見た目に特に特徴もなく、影の薄いキャラクターでした。
鉄男達に体育館の場所を聞かれた時、こう答えました。
ヒキョー者だなお前ら?
55話
強そうな大勢の男に囲まれても、こんな発言ができるのは桜木軍団ならではですね。
この後集団でボコボコにされますが、決して体育館の場所を言うことはありませんでした。
影は薄いですが、立派な桜木軍団の一員です。
大楠 雄二(おおくす ゆうじ)
一見リーダー格に見えますが、実はそんなことない大楠です。
いつも暇そうな大楠も、早く桜木のように熱中できる何かを見つけてほしいですね。
そんなんでオレに勝とうなんてアマすぎんだよ!!
62話
こう言って竜を殴りつける大楠は輝いていました。
桜木軍団は三井達との喧嘩以降、戦うことはなくなり、パチンコに通うだけの平和な日常を過ごします。
物語の冒頭は桜木軍団を中心に不良漫画のような、危険な雰囲気がありましたが、激しい試合が続く展開の中で、気づくと桜木軍団は場の和ませ役になっていきました。
その他の人々
堀田 徳男(ほった のりお)
THE 不良の堀田番長です。
しかし、物語の冒頭から流川に返り討ちにされる等、あまり強キャラ感はありませんでした。
それもそのはず、実は仲間思いの心優しい奴で、三井とバスケ部を襲撃した時、三井にこう言います。
三っちゃん本当は…バスケ部に戻りたいんじゃ…
71話
このあまりにも核心を突きすぎてしまった発言により、三井に腹をグーパンされてしまいますが、この発言がなければ三井の心は動かなかったかもしれません。
堀田がこう言ってくれたおかげで、三井は素直になるきっかけを掴み、あの伝説の名言「バスケがしたいです」が生まれたのです。
一度は桜木軍団と拳を交えましたが、桜木軍団とは一緒にバスケ部を応援するようになります。
昨日の敵は今日の友です。
「炎の男 三っちゃん」を応援する応援団を結成し、流川楓親衛隊に負けない応援をするのでした。
不良時代の仲間からの応援は、三井の力になっていたことでしょう。
高嶋(たかしま)
集団で水戸をボコろうとし、逆にボコボコにされた不良のメガネ君です。
インターハイで、間違ってガラの悪い豊玉高校の応戦席に座ってしまいました。
座るとこ間違えたんじゃねーか 徳ちゃん…
200話
この後、案の定堀田と逃げ出します。
不良時代のイキリはどこへ行ったのでしょうか。
ですが、桜木軍団も元不良です。
こうやって人間ドラマを経て、不良達が丸くなり、大人になっていくのもスラムダンクの魅力です。
青田 龍彦(あおた たつひこ)
赤木のライバルで、柔道をやっている青田です。
桜木の才能に惚れ込み、何度も柔道部に誘います。
青田はバスケ部の応援に駆けつけてくれることもあり、行動が滅茶苦茶な変わり者ですが憎めない奴です。
青田が桜木の試合を見ながら言った名言がこちらです。
あのジャンプ力…やはりお前には柔道…!!
182話
なんとしてでも桜木が欲しい青田の気持ちが伝わります。
青田は桜木を柔道部に勧誘する時、桜木と柔道で一騎討ちをしました。
桜木は柔道をしたことがないはずですが、肩車という技で青田を投げ飛ばしました。
余談ですが僕は学生時代柔道部でしたので、肩車の難しさが分かっているつもりです。
肩車は力が必要なのはもちろん、技に入るタイミングや入り方が非常に難しいのです。
素人ながら高難易度の技をあっさりきめてしまう、あの桜木の運動能力であれば、確かにバスケでなくても成功したかもしれませんね。
西川(にしかわ)
スラムダンクファンの皆さん、西川が誰か分かりますか?
分かったあなたは天才です。
そうです、バスケ部の練習をサボっておきながら、赤木の陰口を言っていた西川です。
ブチ切れた赤木に、投げ飛ばされていました。
その後、震えて立ち上がりながら言った名言がこちらです。
(湘北高校は)とりたてて何のとりえもない…フツーの高校生が集まるところさ
266話
これ以上ないほど、自分達を卑下している言葉ですね。
湘北は陵南などとは違い公立高校であり、普通の高校です。
ついつい人は入った高校や、大学などで自分達の能力を評価してしまうもので、西川はその典型的な高校生ということになります。
普通の高校に入った自分=フツーだから特に才能はない=なんでもフツーで当然
これが西川の考えだと思います。
しかし、赤木率いる湘北は違いました。フツーの湘北高校は、王者山王を破ります。
大事なのは、「どこの集団に所属するか」「どこの環境にいるか」ではなく、「今の場所で何をするか」だと、西川を反面教師にして僕達は学べるのです。
映画化が楽しみ
いかがでしたでしょうか?
スラムダンクを少しでも読み返したくなれば幸いです。
本当はまだまだ残りのキャラクターのセリフを書きたいのですが、一つの記事で文章が長くなりすぎてしまったので、別の記事に書きたいと思います。
続きの記事では、対戦した高校の選手を中心にセリフを紹介しています。
ぜひ読んでいただきたいです!
アニメは↓から見れます。