田舎ではなぜ高卒が多い?大学に行かないのが当たり前な理由を考察

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田舎暮らしでは魅力がたくさん!..な一方で、田舎生まれ・田舎暮らしでは都会と異なる点も多数あります。

その中でも大きな特徴の一つとして、「田舎は高卒が多い」という点が挙げられます。

現在の日本では「大学全入時代」と言われているように、大学進学者が増えています。

あまり勉強が得意でない人も、とりあえず入れる大学に入る人が多いです。

しかし、田舎では高卒が多く、大学進学率は低いです。

実際、平成25年の全国大学進学率が約53.2%なのに対し、岩手県は40.4%です。ちなみに東京都は65.2%です。

僕が昔に中学校の同窓会に行った時、大学に進学しているのはクラスの3割程度で、県外の大学に進学した生徒は1割くらいでした。

なぜ高卒の人が多いのでしょうか?都会の人からは想像もできないでしょう。

田舎に高卒の人が多い理由を考察します。

公立の小中高が多い

そもそもの前提として、田舎は公立の学校ばかりです。
これが、田舎で大学進学者の少ない理由の一つだと思います。

高校からは公立であっても入学試験を受ける必要がありますので、人によっては公立の進学校に入学する人もいます。(田舎の公立に存在する進学校を、自称進学校と揶揄する言葉もあります。)

そのため、同じ公立高校でもあっても大学進学を目指す高校と、目指さない高校で学力的には大きな格差があります。

岩手県の例を挙げると、<大学進学を目指す公立高校の数:目指さない公立高校の数=3:10>の割合です。
体感ではありますが、中学以前と高校以降で、学生の学力の差が大きく開きます。

では、同じ公立小学校、中学校で育った生徒同士が、高校以降でなぜ学力格差が起こるのでしょうか?
これは、公立小中学校の多様性に原因があると思います。

公立の小学校、中学校は住んでいる地域によって自動で入学する学校が振り分けられますので、クラスにはやんちゃな人、ちょっと不良な人、勉強が好きな人、運動が得意な人と、多種多様な人が在籍しています。

家庭の経済状況や親の学歴、教育方針も異なりますので、中学1年生から大学に行きたいと考えている生徒もいれば、大学に行く気がない生徒もいます。

つまり、多様性があることは素敵なのですが、生徒によって学校の勉強へのモチベーションは全くバラバラです。

中学校の先生は高校に進学させることが仕事ですので、勉強に意義を感じていない生徒に対して「大学に絶対に行け」とまでは中々指導してくれないことが多いです。

中学校のときに勉強をしていなければ、大学入試を目指す高校には進学しません。そのため、実質的には中学校のときの勉強の向き合い方で、大学に行くか行かないかが決まります。

ですが、まだ子供である小学生や中学生が、周囲に流されずに自分を律して、勉強に打ち込むのは中々難しいですよね。「小学校、中学校の勉強なんて、何の意味があるんだ?」と思っている学生は多いと思います。

そうなると、「親の教育への意識がどれくらい高いか」によって小中学生は「勉強するかしないか」が決まります。そして、中学校卒業後に「進学校に入るか入らないか」が決まり、自動的に「大学に行くか行かないか」が決まってしまうのです。

私立の小・中学校であれば、入試を経て同じような価値観、同じような目的を持って入学している生徒や親がほとんどですので、生徒によって勉強の向き合い方が異なることは少ないでしょう。先生も大学入試を見据えて、長期的な教育をします。

しかし、公立小学校・中学校では前述のように画一的な教育は難しく、良くも悪くも生徒同士が共通の目的を持って学校生活を送れません。したがって、まだ子供である小中学生に対し、大学進学という選択肢を教えてあげる機会が少ないのです。

親が教育熱心であり、中学校で勉強に励み入試が難しい公立高校(自称進学校)に進学した人は、大学受験を意識する環境で学校生活を送ります。

しかし、中学卒業後にその他の普通科に進学した学生は「就職・専門学校・大学」の3択の中から進路を選択します。
この3択から選ぶとなると、大学はお金もかかる上に試験もあり、ハードルが高く感じますよね。

そのため、普通の高校では高校卒業後の進路として「お金に余裕がある人は専門学校、お金を稼ぐ必要がある人は就職」となる傾向があります。

中学校までの過ごし方で大学に行けるかどうかが決まり、中学生の勉強の向き合い方は親によって決まる部分が非常に大きいのが、公立学校が多い田舎の教育の特徴だと思います。

教育産業市場が小さい

とはいえ、親の教育方針が子供に影響を与えるのは、日本全国どこでも同じように思えます。

なぜ田舎だと、より親の教育観が子供の学力に強い影響を与えるのでしょうか?

理由の一つとして、田舎の教育産業市場が小さい点が挙げられると思います。

都会であれば、コンビニや美容院と同じように、沢山の塾や予備校がありますよね。

田舎では、塾の数が少なく、大学入試対策をする予備校はほぼありません。

都会では駅や電車で当たり前である塾や予備校の広告も、見かける機会がありません。(そもそも田舎は電車に乗る習慣がないのもあります。)

小中学生が学校の外で勉強する場所は塾やくもんなど、少ないながらにありますが、大学入試を対策する予備校はないので、高校生は家と学校で勉強することになります。

最近は映像授業の普及で映像授業を提供する予備校もありますが、数は少なくまだ一般的ではありません。大学入試のために浪人をする人は、高校卒業後、都会で一人暮らしをする人も多いです。一人暮らしや下宿をしながら、予備校に通うのです。

高校で大学入試の対策をしてくれる学校であれば「大学受験をしてみよう」と思えますが、大学入試の対策をしない普通の高校に入学した場合、予備校がないために「今から大学受験をしよう」とは中々なりません。

小中学生も、日常で当たり前のように塾や予備校がある地域であれば、自然と学校が終わった後に塾に通い、大学を目指す学生も増えるでしょう。

しかし、田舎では塾の数が少なく、塾に行くために車で送り迎えが必要になるので、親が子供のためにどれくらい時間やお金を負担できるかで、塾に通う学生と通わない学生が生まれます。

小中学生は、塾に通えている人と通えていない人で、学力の差がついてしまうのですね。

もちろん塾に通わずとも、勉強が得意な学生もいます。

そのような学生は、親が高学歴であり、塾に通わさずとも親が勉強を教えられるケースが多いです。

結局は、親によって学力の差がつき、大学に行くか行かないかが決まります。

また、塾が少ないだけでなく、そもそも田舎は県内にある大学の数が少ないです。

東京都には143校もの大学があるのに対し、岩手県は国公立大学が2校、私立大学が4校の合計6校しかありません。

都会であれば全国から大学生が集まるため、大学や大学生の存在が一般的です。

田舎は土地が広く広大な土地にポツポツと大学があるだけなので、意識しない限り大学への馴染みが薄いまま小中学生は育ちます。

「大学生のお兄さん・お姉さん」と出会う機会はほぼありません。

「大学の身近さ」が薄いことも、田舎に高卒が多い要因でしょう。

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大卒の必要がない

違った角度から高卒者が多い理由を考えますと、田舎では大卒の必要性が薄いことが挙げられます。

田舎に生まれそのまま県内で就職する場合、大卒でないと就職活動で困ることはありません。

大卒で不利になることがないのならば、わざわざお金を払って大学に通う必要はないですよね。

実際に、田舎では親も高卒が多く、親戚も高卒ばかり、同期も高卒が多い人ばかりでしょう。

「高卒だと給料が少ない」のはある程度真実だとは思いますが、田舎は生活費が安いです。

東京であれば家賃だけで10万はかかるので、高卒で手取り15万ではとても生活できません。

一方で、田舎は家賃も飲食費も安く、娯楽施設が充実しているわけではないのでお金がかかりません。

実家暮らしの人も多いので、家賃・食費ゼロの人も多いです。

つまり、高卒で職についたとしても都会に比べて生活で困ることが少ないのです。

高卒の問題は県外での就職が難しいことですが、県内に留まり生活する限りは大卒である理由が薄いです。

都会では、学歴が一種の身分差のようになっていますよね。

「偏差値が上の大学に通っている学生はすごい」という雰囲気があることは、誰しもが認める事実だと思います。

田舎では、上で説明したように大学が身近でないためか、出身大学で人を測る文化がほとんどありません。

「学歴コンプレックス」のような人はまずいないため、大卒でないと肩身が狭いなんてことはないのです。

経歴が大事な都会においては学歴を追い求める人は多いですし、「学歴が高ければ良い会社で良い仕事に就ける」のは暗黙の了解ですので、学歴や将来のために勉強するのはある種合理的です。(良い会社や良い仕事の定義は曖昧な上、転職が盛んになり学歴が関係ない世界へと変わる意見もありますが、あえて今までの慣習としてこのまま書きます。)

経済的にも、世間体のためにも、大卒である必要がないために、田舎は高卒が多いと考えられます。

高卒だから頭が悪い、は大間違い

田舎で高卒の人が多い理由を解説してきました。

実体験をベースにした考えが中心ですが、共感してくれる人は多いのではないでしょうか。

田舎で高卒の人が多い理由は、まとめると以下のようになります。

理由まとめ

公立中学校には、みんなで大学を目指す雰囲気がない→勉強する・しないは学生の意識次第→大半は普通の高校へ進学→半ば自動的に大学は選択肢から外れる

進学校、塾、大学が少なく、教育に馴染みがない入試の対策もできない。

経済的・世間体的に大卒の必要が薄い

田舎は確かに高卒の人が多いです。しかし、誤解して欲しくないのが「高卒=頭が悪い」ではないことです。

「高卒=努力不足」でもありません。

単に、「大学に進学する」という選択肢がない環境で生まれ育った、というだけなのです。

学歴信仰の世界にどっぷり浸かった人にとってみれば、高卒が多い田舎は未開な世界に見えてしまうでしょう。

ですが、生まれた環境、家庭の経済状況によって大学に行けない人は沢山います。

さらに田舎では説明してきたように、そもそも大学に進学する道を知らないまま、高校生になる人も多いです。

大学に通っている人、大学を卒業した人は、「大学に行く選択肢がある環境で育った」だけだと思います

田舎は高卒の人が多いからといって見下すのは違いますね。高卒だからやんちゃな人、というのも誤りです。

僕の周りには当然高卒の友人が多いですが、みんな高校生のときから人生をどのように生きるか考えており、しっかりとした人ばかりです。

大学全入時代において、名前を書けば入学できるような大学もあります。

少子化で大学入試の難易度が下がっていると言う人もいます。

せっかく大学に入学しても、大学の勉強に会社の仕事はあまり関係がないので、大学の授業を真面目に受けなくても就職できます。会社も大学での学びを期待せず、新卒一括採用で育成します。

意識の高い大学生は大学に通わず、ベンチャー企業でのインターンシップを積みKPIを回します。そんなに働きたいのなら、なぜ高卒で働かないのでしょうか?

高卒・大卒の区分けで一体人の何が測れるのか、そもそも今の日本で大学に入る意味はあるのか、「大学」の存在について踏み込んで考える必要があります。

また、上記では公立中学校へ「大学受験の観点のみから考えると」批判的に書きましたが、公立中学校の教育は素晴らしいと思います。以下の記事を書きましたので、ぜひご覧ください。

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