ワンキャリアの取締役CSOをしている、北野唯我さんの著書「転職の思考法」を紹介します。非常に有名なキャリア本の一冊でして、北野さんは何冊も人気なキャリア本を出版しています。
僕自身も学びが多かったので、本書の主なポイントを紹介します。
仕事の寿命が切れる前に伸びる市場に身を晒せ―「一生食えるを確保する4ステップ」
自分のマーケットバリュー(市場価値)を測るための9つの質問 |
・会社を変えても価値のあるスキルをどれだけ持っているか? |
・そのスキルの賞味期限はいつまでか? |
・他の会社でも通用するレアな経験がどれだけあるか?その経験は世の中からどれだけ強いニーズがあるか? |
・社内に会社を変えても、喜んで力を貸してくれる人はどれだけ存在するか?その人物たちは、意思決定の力がどれだけあるか? |
・社外に自分のために喜んで力を貸してくれる人物がどれだけいるか? |
・その人物たちは、意思決定の力がどれだけあるか? |
・自分が所属しているマーケットの一人当たりの生産性はどれだけ高いか? |
・自分が所属しているマーケットに今後の成長性はあるか? |
・今後、どれだけ自分の市場価値は成長が見込まれるか |
マーケットバリュー=技術資産×人的資産×業界の生産性 |
・技術資産は他の会社でも通用する技術的蓄積 |
→職種に紐づく「専門性」と、職種に紐づかない「経験」がある |
・人的資産は「人脈」。あなただから働いてくれる人がどれだけいるか |
・業界の生産性は、一人当たりの粗利。これが給料の原資。 |
これから伸びるマーケットを見つける二つの方法
伸びている業界に身を置くことはそれだけで価値がある |
マーケットを見つける二つの方法 |
①複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する |
②既存業界の非効率を突くロジックに着目する |
100万社が参加しているゲームで一番を目指すのではなく、いずれ100万人が参加するゲームに一番乗りをする |
伸びるマーケットには、いずれ大企業の強豪となるような急成長中のベンチャーが複数いる |
価値のあるものとないものとは、長い目で見ると逆転する |
「周りはバカにするが、理屈から考えると正しいこと」に賭けろ |
転職先となる会社の見極め方
会社選びの三つの基準 |
①マーケットバリューは上がるか |
②働きやすいか |
③活躍の場は十分か |
「働きやすさ」と「マーケットバリュー」は相反しない。長期的には一致する |
活躍の場を確かめる三つの質問 |
①どんな人物を求めていて、どんな活躍を期待しているか |
②今一番社内で活躍し、評価されている人はどんな人か |
③自分と同じように中途で入った人物で、活躍されている人はどんな社内パスを経て、どんな業務を担当しているか |
良いベンチャーを見極める三つのポイント
①競合はどこか?そして競合も伸びているか? |
②現場のメンバーは優秀か?(経営陣が優秀であることは当たり前だが、他の社員も優秀か) |
→できる限り、現場のメンバーとだけ直接会う場を設けてもらい、積極的に逆質問をする |
→採用担当者に、「長く働きたいので、一番長く時間を過ごす現場のメンバーと深くお話したい」などリクエストする |
③同業担当者からの評判は悪くないか? |
新卒ではいるべき会社と中途で入るべき会社の違い
中途を活かすカルチャーはあるか |
→役員が新卒出身で占められている会社は要注意 |
自分の職種が会社の強みと一致しているか |
→会社の強み以外の職種で入っても裁量権を持ちづらい |
→自分が行きたい会社の商品やサービスに触れ、どこが好きなのか?をメモ |
→B to Bの企業は、経営陣や主要メンバーのバックグラウンド(前にいた会社や部署)を確かめれば、何を「エンジン」とする会社かが分かる |
どんな人物でも回るビジネスモデルかどうか |
→人材を問わず成長するビジネスは会社として優れているが、転職する側からみるとマーケットバリューが上がりづらいケースが多い |
→それでも入社を希望するなら、一通り技術資産と人的資産をつけた上で、最初から高いポジションで入社する |
転職エージェントについて
候補者とA社が接点を、先に作ったエージェントが報酬をもらう |
だから転職エージェントはできるだけ早く、たくさんの企業を受けさせる |
他のエージェントとの接点を嫌う |
転職エージェントから紹介される案件だけで、転職先を絞ってはいけない |
行きたい会社がある程度決まっているなら、転職者は全てのチャネルを自ら当たる |
良いエージェントの5か条
①面接時、良かった部分だけでなく、入社する上での懸念点がどこかフィードバックをくれる |
②案件ベースでの良い、悪いではなく、自分のキャリアにとってどういう価値があるかの視点でアドバイスをくれる |
③企業に回答期限の延長や、年収の交渉をしてくれる |
④「他に良い求人案件はないですか?」という質問に粘り強く付き合ってくれる |
⑤社長や役員、人事責任者との面接を自由にセットできる |
仕事における楽しみについて
人間には「何をするか」に重きを置くto do型の人間と、「どんな人、どんな状態でありたいか」を重視するbeing型の人間がいる |
99%の人間はbeing型 |
being型の人間にとって重要な二つの状態
being型に必要な状態は、仕事をRPGとして考えると分かりやすい |
①自分の状態:主人公は適切な強さか。主人公は信頼できるか。 |
→マーケットバリューを高める |
→その上で仕事でつく嘘を最小化する(自分が好きでなければゲームを楽しむことが出来ない) |
②環境の状態:緊張と緩和のバランスは心地よいか |
→この半年の間に強い緊張を感じた場面を書き出してみて、 |
・悪い緊張が10以上ある:職場を変える |
・いい緊張が三つ未満:より難しい業務や、やったことのないことに挑戦する |
being型の人間が好きなことを見つける方法
being型の人間は「小さなやりたいこと」は誰でも持っているから以下の方法で探す |
→①他の人から上手だと言われるが、自分ではピンとこないもの |
→②普段の仕事の中で、全くストレスを感じないこと |
転職を考えた時に読む本
本書では、マーケットバリュー(市場価値)が何よりも大切だ、という前提の上で、就活、転職エージェントについて、やりたいことの見つけ方、を紹介しています。
マーケットバリューを大切にしながら、仕事の選び方として、①自分の好きなこと、苦にならないことを「ラベル」にして貼る→②ラベルをつけたら「そのラベルが強固になるか」という判断軸で仕事を選んでいくと、明瞭に職の見つけ方述べられています。
「マーケットバリューを高める選択、行動を最優先する」という思考法の大切さは実感でき、上記のようにキャリアにおいて大事な点が簡潔にまとまってはいるものの、簡単なようで難しいことばかりが書いてると思いました。
自分のマーケットバリューの測り方、その上げ方、伸びるマーケットの見つけ方、会社の探し方。
どれも正しいとは感じる一方で、1人でこなすのは難しいと思います。
そのため、転職エージェントなどプロの力を借りることになるとは思いますが、その際にこの「転職の思考法」で書かれた思考法を適宜参考しながら転職活動に臨むと良いでしょう。