timelesz project AUDITION タイプロの感想 人気の考察

作品の感想
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Netflixで配信中の「timelesz project -AUDITION-」は、元ジャニーズ事務所所属、現STARTO ENTERTAINMENT所属のSexy Zoneが「timelesz」と名前を変え、新メンバーを募集するオーディション番組です。

僕は最近の音楽業界に完全についていけなくなりましたが、このオーディション番組に関する切り抜きをSNSで頻繁に見かけるようになり、徐々にSNSがtimelesz一色になり、そして気づくと毎週金曜夜に更新されるこのタイプロ(timelesz project -AUDITION-)に夢中になっていました。

なぜこの番組が面白いと思うのか、今までのtimelezさんの歴史にあまり明るくない僕が、感想の紹介と解説をします。

現段階の最新話である5次審査を全て見終わっているので、5次審査までのネタバレを含みます。

オーディションの流れ

「timelesz」は、2024年4月にSexy Zoneから改名し、現在は佐藤勝利さん、菊池風磨さん、松島聡さんの3人で活動しています。元々は5人で活動していたところ4人になり、さらに中島さんが脱退したことで、今プロジェクトでは新メンバーを加えることでグループの進化を図る狙いがあるようです。

「Episode 14 責任」では、菊池さんが「オーディション企画がなければ解散もあり得た」と仰っていたので、この企画はtimeleszにとっての起爆剤となるべく渾身のプロジェクトだと見受けられます。

オーディション番組は韓国のアイドル番組でもよく見る企画ではありますが、既にあるグループへ一般候補者が加入するという、従来のジャニーズ事務所らしくない企画であり新しさを感じました。

2024年5月1日から約1か月間の応募期間で、18,922件のエントリーがあったそうです。参加者の中には、焼肉店店員や消防士、公務員など、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まっていますが、最終的に後半の審査に残っているのは何らかのアイドルグループに所属していた経験があったり、他のオーディションに出演経験があったりと、完全な素人は少ないようです。  

ただ、「完全な素人ではない」というのは視聴者が自主的に調べないと分からない情報であり、番組内では名前・年齢と一緒に「高校生」や「イタリアンレストラン店員」と、現在の肩書きだけが表示されます。そのため、年齢や職種も経歴も多種多様な候補者達が集まったような印象を受けます。

チーム分けによるパフォーマンス審査

4次審査以降では、候補者達をいくつかのグループに分け、実際のtimeleszの楽曲を歌って踊る審査をします。候補者を審査するのはtimeleszの3人、ダンストレーナー1人、ボーカルトレーナー1人です。高倍率を突破してきた実力者達が、timeleszの楽曲をしっかりと練習してパフォーマンスするため、カメラワークやセット、音響の豪華さも相まって、候補者のパフォーマンス映像は何度も見てしまいたくなる魅力があります。

審査時のパフォーマンス映像はYouTubeでも見ることが可能であり、聞き返したくなった際にいつでも鑑賞できます。さらに、本家の歌が聞きなくなった場合は同じYouTubeチャンネルから再生できるため、候補者とtimelesz双方への理解を深められるようになっています。

ちなみに、僕が最も好きな楽曲は人生遊戯です。

軽快なラップから始まり、聴いていて楽しくなる歌なので繰り返し再生してしまいます。

厳しい練習や合宿、突然始まり5日間で終わるシェアハウス生活もあり、候補者間での絆が生まれ、切磋琢磨する候補者を見てファンが生まれるのだと思います。実際にSNSの発信、グッズ展開と抜け目がありません。

ここまでは通常のオーディション番組と似ていますが、特徴的なのはtimeleszの権威性です。

timeleszの権威性

この番組は候補者が主役ではなく、どちらかというとtimeleszが主役の印象を持ちました。審査する側としてtimeleszがおり、timeleszのメンバーは候補者達に時に厳しい言葉を浴びせます。

候補者達はtimeleszの楽曲を審査で披露するため、正解はあくまでtimeleszの中にあり、timeleszと候補者の比較が生まれるもののtimeleszが優勢であり続けます。

同じく審査側に回るダンサー、ボーカルトレーナーは候補者へは厳しくダメ出しをする一方で、timeleszの能力的、人間的な素晴らしさを讃え続けます。したがって、18,922件の高倍率を突破してきた10数人がいわば布石となり、timeleszの素晴らしさをプロモーションするような企画とも感じました。

候補者同士だけでなく、timeleszと候補者の交流が頻繁に描かれ、候補者同士でいる時間の方が長いはずではありますが、あくまでtimeleszと候補者が一緒にいる場面が主に流れます。

候補者に優しく接するtimelesz、厳しく指導するtimelesz、感動して涙を流すtimelesz、と様々なtimeleszの一面を見せ、候補者と一緒に視聴者がtimeleszを好きになっていく仕掛けが施されています。

当然、候補生達はコメントを求められると全員がtimeleszの素晴らしさ、ありがたさを語ります。

タイプロは度々炎上もしているようで、誹謗中傷もあるようです。もちろん、誹謗中傷は絶対にしてはならないですが、timeleszやダンサー、ボーカルトレーナーが候補者のふがいなさに対して激昂し候補者が涙する様子は、刺激的であることには間違いありません。

昔のSexyZoneと言えば、僕の中ではキラキラ王子様なアイドルというイメージでした。

「君にHITOMEBORE」では、歌の途中で突然「好きなんだよ、マジで!」とセリフが差し込まれ、「Sexy Summerに雪が降る」でもキザなセリフでファンを楽しませます。

一方で、前述のようにタイプロでは候補者にtimeleszが厳しく指導し檄を飛ばす姿があり、自分の中にあるSexyZone(timelesz)へのイメージとの大きな乖離がありました。

SexyZoneがtimeleszと名前を変え、アイドル路線とは別の方向で進化をとげようとする姿勢を感じられました。

審査による結果発表

前述の通り、候補者が歌って踊るパフォーマンス審査において、不合格と判定を下すのはtimeleszです。この審査にもタイプロの独特さがあります。

例えば、大学入試で受かった人は、不合格者が肩を落として帰る中、合格掲示板の前で胴上げされ、Xで合格報告を呟き喜びを爆発させます。

しかし、このオーディションの合格発表の場面ではtimeleszが神妙な面持ちで合格者の名前を呼びます。当然、不合格者は呼ばれません。合格者には順位がつき、合格として名前を呼ばれた人は全員の前でスピーチをしますが、重い空気の中で誰も笑顔にはならず、審査を通過した喜びも控えめに表現されます。

そして、合格発表が終わった瞬間、合格した人もそうでない人も堰を切ったように泣き始め、さらにtimeleszが候補者と一緒に号泣します。「まるで審査をしたくなかった、させられていた」かのように見えてしまいますが、冷静に考えると審査を始めたのはtimeleszであり、候補者を集めて不合格にしているのはtimeleszです。

しかし、辛そうに合格者を呼び上げ、誰も喜ばない悲劇の合格発表とすることにより、本来は非情に映る審査員としての立場さえ無効とし、timeleszの優しさを見せる場面に様変わりします。

ジャニーズの伝統と縦社会

では、timeleszだけが権威や正義であり続けるのか、というとそうではなく、timeleszよりもさらに大きな権威が登場します。それは、現STARTO ENTERTAINMENT(元ジャニーズ事務所)です。

ジュニアの特別感

タイプロは4次審査から一般の応募者とは別にSTARTO ENTERTAINMENTの俳優部に所属する人、つまり元ジャニーズJr.(ジュニア)の3人が途中参加します。彼らの存在はオーディションのレベルをさらに高め、競争を激化させます。ワンピースで言うところの超新星、仮面ライダー龍騎でいうところの浅倉威です。

さらに彼らJr.経験者はグループとしてのデビューはしていないものの、timeleszと同期、もしくは先輩格であり、あのtimeleszのみなさんをあだ名や無敬称で呼び、タメ口です。ダンスや歌も他の候補者よりも上手く、ダンストレーナーやtimeleszから褒められます。リーダーシップもあるため、候補者の中でも一目置かれる存在です。

つまり、優秀な一般応募の候補者との比較で元ジャニーズJr.の特別さ、優秀さが際立っており、実際に元ジャニーズJr.の候補者のSNSはフォロワーが大きく増加中のようです。

ジャニーズの先輩達

また、ジャニーズJr.だけでなく、歴代の先輩方も登場します。

3次審査では、関ジャニ∞の大倉忠義さんがサプライズで審査員として登場し、候補者に厳しい言葉を投げかけました。この姿勢は視聴者にも大きな反響を呼び、賛否両論の意見が寄せられました。

5次審査前には候補生が先輩方の衣装を着てパフォーマンスをするために、timeleszのメンバーが直訴に行くエピソードがありました。Hey!Say!JUMP、旧V6、山Pこと山下さんの部屋をノックし、timeleszが緊張しながら衣装の貸し出しをお願いする様子からは、あのtimelesz以上の実力や実績が先輩方にあるのだと印象付けます。

このように、一般参加の候補者、元ジャニーズJr、timelesz、先輩方、と異なる4者間の交流や相対比較を通して、STARTO ENTERTAINMENT(元ジャニーズ事務所)が優秀な人材を抱える事務所に映っており、STARTO ENTERTAINMENT社の素晴らしさを感じられる企画にもなっています。

推しの誕生へ

このように、タイプロはオーディション番組ではありますが、別の角度から見るとtimelesz、そしてSTARTO ENTERTAINMENT社全体のプロモーション番組だとも思えました。

timeleszがカレーを作り候補者と外で食べる回や、候補者が当番制で食事を作るシェアハウス回など、まだまだ語りたいことは沢山ありますが、タイプロを見て素直に感じたことは、「人が直接表現するエンターテイメントって素敵だな」という点です。

timeleszのメンバーによる芝居がかったセリフや語り口調には気恥ずかしさもありながら、それも含めて良い意味でジャニーズらしさを感じました。STARTO ENTERTAINMENT社のアイドルグループは解散や退社が目立つ中で、どこか懐かしい気持ちになりました。

漫画「推しの子」で、僕の好きなセリフがあります。

「誰かを愛したい。我々人類は残念ながら、そんな厄介な感情を生まれもってしまった(中略)やっと見つけた愛せる対象を『推し』と呼ぶんだろうね」

MEMEちょ

タイプロで表現される候補者とtimeleszは、彼らを愛すべき分かりやすい理由を与えてくれます。

ネットフリックスがおくる、ノンフィクションのようなフィクションが見せる虚像には、アイドルが長らく愛されている理由が詰まっているのだと思います。

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